株をやっていると日々色々なことがありますが、その中でも以前自分が経験した資金さえあれば、ノーリスクで稼ぐことができた出来事がありました。

2021年3月31日に夢真ホールディングス(2362)はビーネックスグループ(2154)と合併し、夢真ビーネックスグループ(2154)を存続会社とし、夢真ホールディングス(2362)は上場廃止となることが発表されていました。

最終売買日は、2021年3月29日。夢真ホールディングス(2362)を保有している株主は、1株に対し、夢真ビーネックスグループ(2154)の株式を0.63株が割り当てられることになっていました。(ちなみに夢真ビーネックスグループは2023年1月1日にオープンアップグループに社名を変更しています。)

で、3/29の引けの株価はこんな感じ

夢真ホールディングス(2362) 1,064円
ビーネックスグループ(2154) 1,817円

これがどういうことかというと、夢真ホールディングス(2362)を1株持っていると、ビーネックスグループ(2154)の株0.63株になる。

ということは、
夢真ホールディングス(2362)100株はビーネックスグループ(2154)63株になる。

1株の価格で比較すると
夢真ホールディングス(2362) 106,400円÷63株=1688.88円
ビーネックスグループ(2154) 1,817円

2021年4月1日には同じ1株になるのに、3/29大引けの時点ではこれだけの価格差があったんです。ただ単に、夢真ホールディングス(2362)の株を保有してるだけだと、この翌日からビーネックスグループ(2154)の株価が下落した時には、利益にならないかもしれません。

なので、夢真ホールディングス(2362)を買って、ビーネックスグループ(2154)を売るクロスを3/29にするとほぼノーリスクでこの差が利益になります。

例)
3/29大引けに
夢真ホールディングス(2362)500株買い 1,064円×500株=532,000円
ビーネックスグループ(2154)300株空売り 1,817円×300株=545,100円
これをおこなうと

4/1に
ビーネックスグループ(2154)315株現物
ビーネックスグループ(2154)300株空売り
という状態になり、4/1にビーネックスグループの株価が上がろうが、下がろうが、利益になるのは確実なのです。

4/1
ビーネックスグループ(2154)始値1,711円
買い1,711円×315株=538,965円 +6,965円
空売り1,711円×300株=513,300円 +31,800円

こんなにうまいことがあるわけないじゃんと思いますよね。そうなんです。これに逆日歩がかかります。

ビーネックスグループ(2154)逆日歩(1株あたり)
3/29 3.8円 300株だと1,140円
3/30 0.05円 300株だと15円
3/31 0.15円 300株だと45円
300株制度信用で空売りしていると、手仕舞うまでに1,200円かかりました。

これに売買手数料と、信用売りの貸株料がかかります。

もう一点注意しなければいけないことがあります。それが、配当金です。配当の権利が確定する日に空売りをしていると配当金の分引かれます。

夢真ホールディングス(2362)の配当は3月と9月
ビーネックスグループ(2154)の配当は6月と12月
夢真ホールディングス、通常なら3月は配当の権利確定日は3月で通常なら3/29は配当の権利確定日なのですが、ビーネックスグループ(2154)に合併することから、3月の配当は出さず、6月にビーネックスグループ(2154)として配当することになっていました。なので、今回配当は関係なし。

ということで、6,965+31,800-1,200=37,565円から売買手数料と金利を引いた金額が利益となります。

この当時まだSBI証券では、手数料は無料ではなかったので、そこそこ手数料はかかりましたが、それでもかなり割のいい取引でした。夢真ホールディングスだけに、夢のような取引だったのです。

で、自分はこのように取引できたのか?→できませんでした…。

なぜ上記のように取引できなかったのか?

この状況は把握していました。この2銘柄チェックしていました。取引できる状態でスタンバっていました。でも、上記のようには取引できなかったのです。準備していても上記のように取引できた人ってかなり少ないのではないかと思います。なぜだと思いますか?

理由としては、こんな稀な状況はほぼないからです。上記のような合併はそこそこあることなんですが、基本的に2銘柄の価格というのは、理論的な株価のサヤがほぼない状態で推移していきます。

お昼の時点でこんな感じだったら、どうします?
夢真ホールディングス(2362) 984円(1561.9円)
ビーネックスグループ(2154) 1,591円

これに飛びついてしまったんです…。リスクなしで、数千円の利益が取れるんですから、飛びついちゃいますよ。そりゃ。

で、引けにかけてどんどんサヤが広がっていったんです。で、大引けでクロスするのが正解という状態になっていったんです。普通は、取引している人ならわかっているので、資金がある限り同じような取引をしていくので、サヤは縮小していくと思うのですが、この時は違いました。

感じとしては、ビーネックスグループの株価がどんどん上昇していくのに引っ張られる感じで、夢真ホールディングスも上昇していくけど、ビーネックスグループの上昇に追いつかないといった感じでしたね。お昼頃に1,591円だったビーネックスグループの株価が大引けに1,817円まで10%以上、上昇しています。

だれか、買わなければいけない理由があったのでしょう。

これ、機関投資家などはさぞ稼いだでしょうね。ちなみに、これ以降上場廃止のタイミングでこんなにうまい感じの取引はなかったと思います。

計算など間違いがあるかもしれませんので、参考までに。