是川銀蔵 (著)

まず、思ったのが、この表紙、絶対ジャケ買いしないわぁ。もうちっとましなデザインあるでしょ。

なんでこの本のことを知ったのか忘れてしまいましたが、読んでみたら、最後まで読めてしまいました。

一通り読んで思ったのが、下手な投資本を読むよりも、この本を先に読んだ方が自分的には良かったのかなと思いました。投資を始めてかなり経ってからですが、出会えて良かった本だなと思います。

投資の本を読む上で、やはり実際に投資を行って利益を上げた人の本を読む方が、自分的には実際的でいいように思います。

是川銀蔵さんは、実際に自分のお金で投資を行い、その利益で長者番付1位になった人です。是川さんの考え方を学ぶというのは、その道のプロの考え方を学ぶことができるのでとても勉強になります。

よく考えたら、成功者が書いた本ってあんまり読んだことがなかったかもしれません。この本を読んで、成功した人が実際に書いた本がどれだけ為になるかわかりましたし、もっとそのような本を読んでいきたいなと思いました。

アマゾンで評価が良いというだけで、著者がどんな人なのか、何を成した人なのかは、調べもせずに本を読むことが多かったです。選書する際の基準として、しっかりと著者を調べてから読書するようにしなければいけませんね。

是川銀蔵さんは、事業での失敗や敗戦では倒産を何度か経験されていますが、株式投資で破産したことはないようです。株式投資の本質的な部分を実践した人なのだと思います。この点からも、是川さんの投資の仕方は堅実な方法だということがわかります。保有している現物株を担保に同じ銘柄を購入している部分はまねすべきではないですが。

是川さんが亡くなる1年前の1991年に出版された本で、30年以上も前の古い本ではありますが、今でも有益な本であると思います。最近よく思うのですが、古い本でも良い本は良いということ。古いから価値がないというのは間違った先入観です。

こんな人生を歩んできた人はそうそういるものではないので、本当に亡くなる1年前に書いてくれて、ありがたいなと思いました。

この本は、是川銀蔵さんが唯一書いた本です。「自伝 波乱を生きる―相場に賭けた60年」の文庫版が「相場師一代」のようです。文庫の出版の際に本の名前が変わったようです。

是川銀蔵さんの一代記なので、投資以外の事業をしていた時のことなども書かれていますが、自分でも知っている歴史の出来事が起きたときに、どんなふうに生きてきたのかが書かれていて読み物としても興味をそそられる部分が多かったです。

是川銀蔵さんのマネすべき点は、勉強熱心なところ。小卒ですが、事業にしろ、投資にしろ、事あるごとに独学で猛勉強したことが成功に繋がっています。それだけ、勉強は大事だということです。

この方、投資でかなり稼いだので、華やかな生活を送っているのかと思いきや、二十代で、働きすぎのため肺結核になったことをきっかけに、お酒をやめ、肉食はやめ、菜食に切り替えています。しかも女遊びもしない。大谷翔平じゃんと思ってしまいました。この辺を行えるかが大成するかの鍵なのでしょうね。

是川銀蔵さんの考え方、生き方は、今の自分にとってマネしていきたいと思える部分が本当に多いなと思いました。

その一つが、朝鮮半島で事業をしていた時、第二次世界大戦に日本が負けたことで、財産をすべて没収されて日本に帰ってきた時の是川さんの言葉

「体さえ丈夫なら何をしてでも生きていける。また新しい人生を踏み出すんじゃあ。」

この言葉を読んで、失ってもいないのに不安になっている自分が馬鹿らしくなってしまいました。本当にこの言葉の通り、体さえ丈夫なら、それ以外失ったとしてもまた頑張ればいいだけ。何を色々と不安になることがあったのだろうかと。

色々と挑戦してみて、ダメだったらまた一からやり直せばいいだけのこと。是川さんの考えに触れたことで、自分の考えに変化が出てきたように思います。

どのように取引する銘柄を選定したかが詳しく書かれているので、銘柄選びの参考になると思います。考え方や姿勢については、本当に勉強させられる部分が多いと思いました。起業家としての側面もあるため、仕事への向き合い方も考えさせられる本でした。