夜と霧 新板を読んだ感想です。この本は、第二次世界大戦のとき、多くのユダヤ人が入れられた強制収容所の中での体験記です。著者のヴィクトール・E・フランクルが強制収容所に入れられるところから、開放されるまでの体験が書かれています。

ヴィクトール・E・フランクル(著)
池田香代子 (翻訳)

自分は、ホロコーストやユダヤ人迫害などの言葉は知っていても、このような内容の本を読んだことがありませんでした。というか、避けていたのかもしれません。ですが、もっと若いうちに読んでおきたかった本でした。

強制収容所という自由のない生活の中で著者のヴィクトール・E・フランクルが心理学者としてのフィルターを通して体験したことが書かれています。それは、極限の状態での体験ですが、今の時代を生きている私たちにも有用な内容です。

強制収容所内での体験記なのですが、生きていく上で、考え方、思考、意思などがどれほど大切なのかということを教えてくれている部分もあります。

今ある当たり前の美しい景色をもっとしっかりと見よう、意識して見よう、この世界の美しさをもっと体験しようとも思いました。この美しい世界を当たり前に見れることが、当たり前ではないのだと思います。こんな当たり前のことに気づかなかったなんて、本当に幸せというか、なんというか。日本が戦争をしていないのって、ほんのここ数十年だけなんですよね。江戸時代も平和な時代でしたが。

この本を読んで、自分が一番印象に残っているのが、P123「教育者スピノザ」の部分。

ヴィクトール・E・フランクルが収容所から作業現場までの道のりを歩いていた時に、考えていた収容所生活にまつわる些細なこと。「今日の夕食はなにか、ソーセージはパンと交換した方がいいか、もらった煙草は、食べ物と交換したほうかいいか、靴紐替わりの針金をどうやってみつけよう、今日の作業現場ではいいグループに入れるだろうかなど。」

来る日も、来る日も、思考のすべてをこんな問いにさいなまれねばならいということに嫌気が指していたそうです。

そして、ヴィクトール・E・フランクルは、このようなことを考えるのではなく、暖房のきいた豪華な大ホールの演台で多くの聴衆の前で、強制収容所の心理学という講演を行っていることを考えました。それらをまるでもう過去のもののようにみなすことができ、苦しみともども、自身がおこなう興味深い心理学研究の対象とすることができたそうです。

なぜ今の自分がこの本と出会ったのか?を考えてみました。きっと、その時読んでいる本って、読んでいる人がその時に学ぶべきヒントが書かれているように思います。考えていると、自分は日常どんなことを考えて過ごしているのだろうかと思いました。なので考えていることに注意して過ごしてみることにしました。すると、嫌なことや腹が立ったことが頭の中をぐるぐるとかけまわっていることがわかりました。「特売のマヨネーズが、売り切れていた。なんでもっと数を用意しておかないんだ。」などとくだらないことばかり。

その中でもちょうど考えてしまっていたことは、自分が所属しているグループで、プールしているお金があります。プールしているといっても、大した金額ではないのですが。今回それを使おうということになったんです。でも、都合が合わず、自分は参加することができませんでした。それについて、不公平だとか、もっと別の使い道があるじゃんとか、誰が言い出して、誰が参加したのかなど。暇さえあればそのことが頭から離れなませんでした。

置かれている環境は違っても、考えていることは、収容所生活と変わらないくだらないことばかり考えているのだなあと、気づきました。こんな考えても仕方のないことを来る日も、来る日も、考えているなんて本当に馬鹿らしいことだと思いました。

この本は日々、頭で考えていることがいかに大切なのかを気づかせてくれた本です。くだらないことではなく、もっと前向きな自分が達成したいこと、楽しいこと、ワクワクすることに思考のすべてを使おうと思いました。

とりあえず、今は嫌なことや腹が立ったことを考えはじめたら、気づくことはできるようになりました。それを意識して遮断し、達成したいことや楽しいこと、ワクワクすることに向けていこうと思います。

では、それを意識的に考えるにはどうしたらいいのか?よく目につくところに書いて常に見れるようにしておくということ。そして、その都度、意識をそこに向ける。あと、トリガーとして、ネガティブなことを考えたら、これを考えるようにしようということを決めておく。そしてネガティブなことを考えだしたら、決めておいたことを思い出す。

マザーテレサ
思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。

ウィリアム・ジェイムズ
心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。

のような有名な言葉がありますが、これらの言葉は大切だと思うことはできても、実践することができていませんでした。なぜか?これが、知ることはできても自分のものにできていなかったからだと思います。

これがハンターハンターのサトツさんが言っていた「物事にはそれに適した機がある、機が熟さねば、何事も真に理解することはできない。知ることはできても。」ということなのかもしれません。

今回、夜と霧という本を読んで、自分の意識を意識するということを学べた気がします。今まで考えていたくだらないことをやめ、創造的なことを考え続けることができるならすごいことができるのではないかとワクワクしてきます。

ここまで読んでくれたなら、ここで、

・あなたが意識を向けたいことはなにか?(こんなふうになりたいなど。例→渋谷の松濤の一軒家に住んでいるなど)
・あなたが達成したい目標はなにか?(例→ブログで月100万ページビュー達成など)
・あなたは何をしている時が楽しいか?(例→友達とおしゃべりをしている時など)

を具体的に考え、紙に書いて目につくところに貼っておく。ネガティブなことを考えたと思ったなら、これらのことを考えるようにあなたの中で決める。で、どうしたらそうなれるか?どうやったら達成できるのか?ということを考え続ける。その場で答えが出なくてもいい。考え続けることが大切。考え続けていると、なにか別の情報が入ってきたときや、寝起きやふとした瞬間に、こんなのどうだろうとか、こうやったらどうかなどがふっと浮かんでくることがある。これができれば、「思考を気をつけなさい」、「心が変われば」の部分が達成できてくるのではないかと思います。

ここまでくれば、自然と行動にも変化がでてくるのではないでしょうか。

本を読み、その本の中から大切なことを学び、そこから自分のアクションプランを考えて、実行するところまでできた気がします。世の中で成功している起業家などは、こんなことを繰り返して自分のスキルとしているのだと思いました。

この本のたった2、3ページの部分からここまで考えることができたのですからかなり有益な本でした。きっと、他の方なら違う部分が印象に残ったと思います。ですが、今の自分にはこの2、3ページが心のもやもやを消すためにどれだけ貢献してくれたか。

戦争のない特別な時代に生まれてこれて、本当に幸せだと思います。この幸せにあぐらをかかないよう、今自分にできることをコツコツと積み重ねていかねば、先人の方々に申し訳ない気がします。

今、おかれている状況がどのようなものであっても、人というのは、どんな環境にいても自分の考えだけは誰にも支配されないのだということ。これは、ものすごい大事なことで、どんなときでも自分の考えが一番大切だということ。この現実では、考え方が全てなのだということ。

現在は何不自由のない暮らしだからこそ、自分の考え方にしっかりとした信念をもって過ごさないと、自由な時代に生きてはいるが、収容所の中と変わりない生活になってしまうのではないかとも思いました。